インプラントと入れ歯の違い:あなたに最適な治療法を見つけるために

歯を失ってしまった場合、その機能と見た目を回復する方法として「インプラント」と「入れ歯」があります。 どちらの治療法を選ぶべきか悩まれている方も多いのではないでしょうか。 このページでは、インプラントと入れ歯の違いを詳しく解説し、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、 あなたに最適な治療法を選ぶためのポイントをご紹介します。

インプラントとは?

インプラントの仕組みと特徴

インプラントは、失った歯の代わりに顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、 その上に人工歯(上部構造)を装着する治療法です。 外科手術が必要ですが、天然歯に最も近い機能と審美性を持つ治療法として注目されています。

インプラント治療の流れ

インプラント治療は、以下のような流れで進められます:

  1. カウンセリング・検査:CT撮影などで顎の骨の状態を詳しく調べます
  2. 人工歯根の埋入手術:局所麻酔下で顎の骨にインプラント体を埋め込みます
  3. 治癒期間:骨とインプラント体が結合するまで3〜6ヶ月待ちます
  4. 上部構造の装着:人工歯を取り付けて治療完了です

治療期間は全体で数ヶ月から1年程度かかりますが、しっかりと骨と結合することで、 長期間安定した機能を発揮します。

入れ歯とは?

入れ歯の種類(部分入れ歯と総入れ歯)

入れ歯は、失った歯を補う取り外し式の補綴装置です。 大きく分けて2つの種類があります:

  • 部分入れ歯:一部の歯を失った場合に使用。残っている歯にバネ(クラスプ)をかけて固定します
  • 総入れ歯:すべての歯を失った場合に使用。歯茎(粘膜)の吸着力で固定します

入れ歯は手術不要で作製でき、比較的短期間で新しい歯を手に入れることができます。

インプラントと入れ歯の主な違い【多角的な比較】

手術の必要性(有無)

インプラントは外科手術が必要なのに対し、入れ歯は手術不要です。 手術への不安がある方や全身の健康状態により手術が難しい方には、入れ歯が適している場合があります。

固定方法(固定式 vs. 取り外し式)

インプラントは顎の骨にしっかりと固定され、取り外す必要がありません。 一方、入れ歯は着脱式で、毎日取り外して清掃・保管する必要があります。

見た目(審美性)

インプラントは天然歯とほぼ見分けがつかない自然な見た目を実現できます。 入れ歯は、特に部分入れ歯の場合、金属バネが見えることがあり、審美面で劣る場合があります。

噛む力・食事への影響

インプラントは天然歯の約80〜90%の咀嚼力を発揮し、硬いものもしっかり噛むことができます。 入れ歯は天然歯の約20〜30%程度の咀嚼力となり、硬いものが苦手で食事に制限が出ることがあります。

装着時の違和感

インプラントは口の中で違和感が少なく、自分の歯のような感覚で使用できます。 入れ歯は異物感を伴いやすく、慣れるまで時間がかかることがあります。

発音・味覚への影響

インプラントは発音や味覚にほぼ影響がありません。 入れ歯、特に総入れ歯は上あごの粘膜を覆うため、話しづらさや味を感じにくくなる場合があります。

治療期間と通院回数

インプラントは治療完了まで数ヶ月〜1年程度かかります(骨との結合期間が必要)。 入れ歯は型取りから完成まで数週間〜2ヶ月程度と比較的短期間で作製可能です。

治療費用と保険適用

インプラントは基本的に自由診療で、1本あたり数十万円の費用がかかります。 入れ歯は保険適用が可能で、比較的低コストで作製できます(自費の高品質な入れ歯もあります)。

お手入れ方法(メンテナンス)

インプラントは毎日の歯磨きと定期的な歯科メンテナンスが必要です(インプラント周囲炎予防のため)。 入れ歯は毎日取り外して洗浄・保管が必要で、お手入れを怠ると口臭や口腔トラブルの原因になります。

耐久性・寿命

インプラントは適切なケアで10年以上、場合によっては半永久的に使用可能です。 入れ歯はプラスチックの摩耗や顎骨の変化により、数年ごとに作り直しや調整が必要になることが多いです。

顎の骨や周囲の歯への影響

インプラントは骨に刺激を与えて顎骨の痩せ(骨吸収)を予防し、隣の健康な歯を削らずに済みます。 入れ歯は顎の骨が痩せやすくなり、部分入れ歯の場合はバネをかけた歯に負担がかかりやすくなります。

適用条件・治療できるケース

インプラントは顎骨の量や厚みが十分あること、全身の健康状態に問題がないことなどが条件となります。 入れ歯は外科手術不要のため幅広い患者様に適用でき、高齢者や全身疾患がある方でも対応可能です。

インプラントと入れ歯の比較【表でわかる違い】

インプラントと入れ歯の主な違いを一覧表にまとめました。 それぞれの特徴を比較して、ご自身に合った治療法を検討する参考にしてください。

項目インプラント入れ歯
手術必要(外科処置あり)不要
固定方法顎の骨に固定取り外し式
見た目天然歯に近い金属バネなどが見える場合あり
噛む力天然歯の約80〜90%天然歯の約20〜30%
治療期間数ヶ月〜1年数週間〜2ヶ月
費用1本数十万円(自由診療)保険適用なら数千円〜数万円
耐久性適切なケアで長期使用可能数年ごとに調整や作り直しが必要
お手入れ歯磨き+定期検診毎日取り外して洗浄
適用条件骨の量・健康状態に制約あり幅広く対応可能

インプラントのメリットとデメリット

インプラントのメリット

  • 噛む機能が高い:自分の歯のようにしっかり噛めるため、食事を楽しめます
  • 見た目が自然:他の歯と見分けがつかない仕上がりで審美性が高い
  • 他の歯への負担が少ない:ブリッジのように隣の歯を削らず、入れ歯のようにバネで支える負担もない
  • 顎骨の維持:顎の骨に刺激が伝わるため、骨が痩せにくい

インプラントのデメリット

  • 治療費が高額:保険が利かず費用負担が大きい
  • 外科手術が必要:手術に伴う身体的負担やリスクがある
  • 治療期間が長い:骨と結合するまで待機期間があり、完了まで数ヶ月以上かかる
  • 定期的なメンテナンス必須:ケアを怠るとインプラント周囲炎などのリスクがある

入れ歯のメリットとデメリット

入れ歯のメリット

  • 費用を抑えられる:保険適用で安価に作製可能(経済的負担が小さい)
  • 短期間で作れる:比較的短い治療期間で新しい歯を入れられる
  • 手術不要:高齢者や持病がある人でも安心して治療を受けられる
  • 取り外し可能:清掃がしやすく、状態に応じて調整・修理もしやすい

入れ歯のデメリット

  • 噛む力が弱い:硬いものが噛みにくく、食事の制限・不便を感じやすい
  • 発音や味覚への影響:話しづらかったり、味を感じにくくなることがある
  • ずれやすい・異物感:安定性がインプラントに劣り、不快感を感じることがある
  • 定期的な作り直し:経年で合わなくなり、何度か作り直しや調整が必要

インプラントと入れ歯、どちらを選ぶべきか?(選択のポイント)

インプラントが向いている人

  • しっかり噛んで食事を楽しみたい人(咀嚼力を重視)
  • 見た目の自然さを最優先したい人(審美性重視)
  • 入れ歯の着脱や異物感を煩わしく感じる人
  • 他の歯をできるだけ傷つけたくない人
  • 費用よりも機能性・快適さを重視できる人

入れ歯が向いている人

  • 外科手術に抵抗がある人(手術のリスクを避けたい人)
  • 全身の健康状態に不安があり手術が難しい人
  • できるだけ費用を抑えたい人
  • 治療に時間をかけられない人(早く歯を入れたい場合)
  • 毎日のお手入れを厭わず対応できる人

よくあるご質問

インプラントと入れ歯に関して、患者様からよくいただくご質問とその回答をご紹介します

Q

インプラント治療が受けられないのはどんな場合ですか?

A

重度の糖尿病・心疾患など全身状態に問題がある場合や、顎の骨量が極端に不足している場合など、歯科医師の判断でインプラントが適さないケースがあります。骨造成や治療前の全身管理で対応できる場合もありますので、まずはご相談ください。

Q

高齢者でもインプラント治療は可能ですか?

A

年齢だけで制限されることは基本的にありません。健康状態が安定していれば70代・80代でもインプラントは可能です。ただし全身疾患の有無や骨の状態によって慎重な判断が必要です。心配な場合は歯科医に相談しましょう。

Q

インプラントと入れ歯では噛み心地にどれくらい違いがありますか?

A

一般的にインプラントは天然歯の80〜90%程度の噛む力が回復すると言われ、硬い物でもほぼ普通に咀嚼できます。それに対し入れ歯は天然歯の20〜30%程度の咀嚼力と言われ、噛み心地が弱く食事に不便を感じることがあります。

Q

インプラントと入れ歯の寿命はどれくらいですか?

A

インプラント本体は適切なケアで10年以上、場合によっては生涯使えますが、上部の人工歯は数年〜十数年で交換が必要になることがあります。入れ歯は樹脂や素材の耐久性や顎骨の変化により5年〜10年程度で作り直し・調整するのが一般的です。

Q

インプラントを利用した入れ歯(オーバーデンチャー)とは何ですか?

A

数本のインプラントを顎の骨に埋め込み、その上に入れ歯を固定・安定させる治療法です。少ない本数のインプラントで入れ歯の支えにすることで、入れ歯のズレを防ぎ噛む力を向上させることができます。インプラントと入れ歯の長所を組み合わせた方法です。

まとめ:あなたに最適な治療法を見つけましょう

インプラントと入れ歯には、このように治療法や費用、機能面で大きな違いがあります。 それぞれメリット・デメリットがあり、どちらが適しているかは患者様の口腔状態やライフスタイル、価値観によって異なります。

インプラントは「天然歯に近い機能と美しさ」を取り戻せる反面、費用や手術の負担があります。 入れ歯は「手軽で経済的」に失った歯を補えますが、機能面で制約があります。

大切なのは、双方の特徴を正しく理解した上で、自分に合った方法を選ぶことです。 それぞれの違いを踏まえ、ご自身の希望や優先順位に合わせて選択しましょう。

専門の歯科医に相談すれば、あなたの状況に合った最適な治療プランの提案を受けられるはずです。 まずは一度、お気軽にご相談ください。

萩野 貴俊 副院長

この記事の監修者

ハギノ歯科 副院長
萩野 貴俊

愛知学院大学歯学部卒業。日本口腔外科学会、日本インプラント学会会員。 患者様お一人おひとりの状況に合わせた最適な治療法をご提案しています。 インプラント・入れ歯どちらの治療にも豊富な経験がありますので、お気軽にご相談ください。

歯を失ってお悩みではありませんか?

三重県いなべ市のハギノ歯科では、インプラント治療と入れ歯治療のどちらにも対応しており、
経験豊富な歯科医師が患者様一人ひとりに最適なご提案をいたします。
初めての方でも安心してご相談いただけるよう、無料カウンセリングも実施しております。
まずはご自身のお口の状態を知ることから始めましょう。

詳しいインプラント治療については、当院のインプラント治療ページもご覧ください。