糖尿病や脳梗塞と口腔ケアの深い関係:全身の健康は口から始まる
「糖尿病と歯周病に関係があるって本当?」「脳梗塞の予防に歯磨きが大切だと聞いたけど…」 そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実は、お口の健康と全身の健康は密接に関わっています。特に糖尿病や脳梗塞といった生活習慣病と歯周病の関係は、 近年の研究で次々と明らかになってきました。今回は、これらの病気とお口の健康の関係について、 わかりやすく解説するとともに、適切な口腔ケアの方法をご紹介します。
40代以降の方にとって、この知識は健康寿命を延ばすために欠かせません。 ぜひ最後までお読みいただき、今日から実践できる口腔ケアを始めてみてください。
糖尿病と歯周病の双方向の関係:なぜお互いに影響し合うのか
脳梗塞・心疾患と口腔ケア:命に関わる関係性
糖尿病・脳梗塞をお持ちの方の口腔ケアのポイント
定期的な歯科受診の重要性:プロフェッショナルケアで守る健康
セルフケアだけでは限界があります。定期的な歯科受診により、 専門的なケアを受けることが全身の健康維持につながります。
3〜4ヶ月ごとの定期検診
糖尿病や脳梗塞をお持ちの方は、一般的な6ヶ月ごとではなく、 3〜4ヶ月ごとの受診をおすすめします。早期発見・早期治療が重要です。
プロフェッショナルクリーニング(PMTC)
専用の器具を使った徹底的なクリーニングで、 セルフケアでは除去できないバイオフィルムや歯石を取り除きます。
歯周病の早期治療
初期の歯周病は自覚症状が少ないため、定期検診で早期発見し、 適切な治療を受けることが大切です。
個別指導とアドバイス
患者様一人ひとりの状態に合わせた歯磨き指導や、 生活習慣のアドバイスを行います。
医科との連携
必要に応じて、かかりつけ医と連携し、 全身状態を考慮した総合的な治療を提供します。
今すぐ始められる!生活習慣の改善ポイント
よくあるご質問
糖尿病や脳梗塞と口腔ケアについて、患者様からよくいただくご質問にお答えします
糖尿病があっても歯科治療は受けられますか?
はい、受けられます。ただし、血糖コントロール状態を歯科医師に必ず伝えてください。 HbA1cが8%以上の場合は、まず血糖コントロールを改善してから治療を行うことがあります。 また、治療前の食事摂取、服用薬の情報も重要です。
歯周病治療で本当に血糖値は下がりますか?
多くの研究で、歯周病治療によりHbA1cが平均0.4%程度改善することが報告されています。 これは薬1剤分に相当する効果です。ただし、個人差があり、歯周病の重症度や糖尿病の状態により効果は異なります。 歯周病治療は糖尿病治療の補助として重要ですが、内科治療も継続することが大切です。
脳梗塞の薬を飲んでいますが、抜歯はできますか?
抗血栓薬(血をサラサラにする薬)を服用中でも、多くの場合は薬を継続したまま抜歯が可能です。 以前は休薬していましたが、現在は脳梗塞再発リスクを考慮し、継続が推奨されています。 ただし、出血管理には十分な配慮が必要なため、必ず服用薬を歯科医師に伝え、適切な処置を受けてください。
口が乾きやすいのですが、どうすればいいですか?
糖尿病による口腔乾燥は多くの方が経験します。対策として、こまめな水分補給(1日1.5L以上)、 シュガーレスガムで唾液分泌促進、保湿ジェルやスプレーの使用、加湿器の活用などがあります。 また、カフェインやアルコールは控えめに。症状がひどい場合は、唾液分泌促進薬の処方も可能ですのでご相談ください。
家族が脳梗塞後で歯磨きができません。どうケアすればよいですか?
介助による口腔ケアが重要です。安全な体位(30度程度起こした姿勢)で、 スポンジブラシや吸引機能付き歯ブラシを使用します。誤嚥防止のため、水の使用は最小限に。 1日3回、特に就寝前は念入りに。当院では介護者向けの口腔ケア指導も行っていますので、 ぜひご相談ください。訪問歯科診療も対応可能です。
歯周病の自覚症状がないのですが、検査は必要ですか?
初期の歯周病は自覚症状がほとんどありません。特に糖尿病の方は進行が早いため、 症状がなくても定期検査が必須です。歯周ポケット検査、レントゲン検査、細菌検査などで正確に診断できます。 40歳以上の方、糖尿病・脳梗塞の既往がある方は、年2〜4回の検査をおすすめします。 早期発見が治療成功の鍵です。
まとめ:今日から始める、健康寿命を延ばす口腔ケア
糖尿病や脳梗塞といった全身疾患と口腔健康の関係について、詳しくご説明してきました。 お口の健康が、これほどまでに全身の健康と密接に関わっていることに驚かれた方も多いのではないでしょうか。
歯周病と糖尿病は相互に悪影響を及ぼし合う「負の連鎖」を生み出しますが、 逆に言えば、口腔ケアをしっかり行うことで「正の連鎖」を作り出すこともできるのです。 歯周病治療により血糖値が改善し、血糖コントロールが良くなることで歯周病も改善する。 この好循環を作ることが、健康寿命を延ばす鍵となります。
また、脳梗塞や心疾患のリスクも、適切な口腔ケアにより大幅に減少させることができます。 特に誤嚥性肺炎の予防には、日々の口腔ケアが極めて重要です。
健康な毎日を送るために必要なのは、「毎日の丁寧なセルフケア」と「定期的なプロフェッショナルケア」の両輪です。 今日から始められる小さな一歩が、将来の大きな健康につながります。
ハギノ歯科では、糖尿病や脳梗塞をお持ちの患者様も安心して治療を受けていただける体制を整えています。 医科との連携、個別の治療計画、きめ細やかなアフターケアで、あなたの健康を全力でサポートいたします。
この記事の監修者
ハギノ歯科 副院長
萩野 貴俊
愛知学院大学歯学部卒業。 全身の健康を考えた歯科治療で、患者様の健康寿命延伸に貢献したいと考えています。
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健康寿命を延ばすための第一歩を、私たちと一緒に踏み出しましょう。
参考文献・関連リンク
- 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
- 日本歯周病学会「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン」
- 日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021」
- 厚生労働省「健康日本21(第二次)」
- 日本口腔ケア学会「口腔ケアガイドブック」
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の症状や治療法については、 必ず歯科医師・医師にご相談ください。