歯槽膿漏を放置するとどうなる?歯が抜けるまでの進行過程

〜静かに進む「沈黙の病気」。気づかぬうちに歯を失うまで〜

はじめに:見過ごされがちな危険信号

「歯ぐきがちょっと腫れているだけだから大丈夫」
「痛くないから、しばらく様子を見よう」

そんな判断が、後に歯を失うきっかけになることがあります。

歯槽膿漏(しそうのうろう)は、歯を支える骨が徐々に溶けていく恐ろしい病気。 ところが初期は痛みがないため、ほとんどの人が気づかずに放置してしまいます。

このコラムでは、「歯槽膿漏を放置するとどうなるのか?」を、症状の進行ステップ・身体への影響・最終的な結末まで徹底的に解説します。

歯槽膿漏の本質:静かに進行する「骨の病気」

歯槽膿漏は、「歯ぐきの病気」ではなく、骨の病気です。 歯を支える「歯槽骨」が炎症によって溶けていくため、一度進行すると自然には戻りません。

重要なポイント

恐ろしいのは、進行してもほとんど痛みがないという点。 「歯医者に行くほどでもない」と放置するうちに、気づけば歯がグラつき、膿が出て、抜けてしまうのです。

ハギノ歯科の歯周病治療ページでも紹介されているように、 歯周病(=歯槽膿漏を含む)は「日本人が歯を失う最大の原因」と言われています。

歯槽膿漏の進行段階:放置によるステップ別変化

歯槽膿漏は、一気に悪化するのではなく、数年〜十数年かけて静かに進みます
以下は典型的な進行の流れです。

1

歯肉炎(初期)

放置期間の目安:半年〜1年

  • 歯磨きで血が出る
  • 歯ぐきが赤く腫れている
  • 口臭が少し気になる
  • 朝起きたときにねばつきを感じる

この段階では、まだ骨の破壊はありません。 プラーク(歯垢)が残り続けると炎症が深部へ広がります。

この時点で歯科医院を受診すれば、歯石除去とブラッシング改善でほぼ100%改善可能です。

2

軽度〜中等度歯周炎

放置期間の目安:1〜3年

  • 歯ぐきの腫れが続く
  • 歯が長く見える(歯ぐきが下がる)
  • 歯の間に食べ物がよく詰まる
  • 口臭が強くなってくる

歯を支える骨が少しずつ吸収され始めます。 歯ぐきの下(歯周ポケット)に細菌がたまり、炎症が慢性化。 この段階では、痛みがほとんどないため気づきにくいのが特徴です。

3

重度歯周炎(=歯槽膿漏)

放置期間の目安:3〜10年

  • 歯を押すとグラグラする
  • 歯ぐきから膿が出る
  • 噛むと痛い
  • 強い口臭が出る

炎症が歯槽骨にまで達し、骨が大きく吸収されています。 歯を支える力が弱まり、少しの刺激でも動揺する状態。

膿が出る段階になると、すでに骨の損失はかなり進んでおり、 放置を続ければ自然脱落(歯が抜ける)へと進行します。

4

歯の喪失・噛み合わせの崩壊

放置期間の目安:10年以上

  • 歯が抜け落ちる
  • 噛めない・発音しづらい
  • 顎の形が変わる(骨吸収)
  • 顔が老けて見える

歯を失うと、噛む力・発音・咀嚼機能だけでなく、 顎の骨もやせて顔の形まで変化します。

また、歯が減ることで残った歯に負担が集中し、 連鎖的に他の歯まで失う悪循環に陥ります。

放置による全身への影響

歯槽膿漏を放置すると、細菌が血流に乗って全身に回り、さまざまな疾患を引き起こすことが分かっています。

関連が明らかになっている主な疾患

  • 糖尿病:血糖コントロールを悪化させる
  • 心臓疾患:心筋梗塞・動脈硬化のリスク増加
  • 誤嚥性肺炎:高齢者に多く、口腔内の細菌が肺に入る
  • 認知症:歯の喪失が脳の認知機能低下と関連
  • 早産・低体重児出産:妊婦への影響

放置によって歯だけでなく、全身の健康寿命にも影響するのです。

放置したままでは「見た目」も変わる

歯槽膿漏を放置すると、歯ぐきが下がり、歯が長く見えるようになります。 さらに、歯槽骨の吸収によって頬がこけ、口元がしぼむため、老け顔・疲れ顔に見られることもあります。

加えて、口臭が強くなることで対人関係にストレスを感じる方も多く、 歯槽膿漏は見た目とメンタルの両面に悪影響を及ぼします。

どの段階でも「進行を止める」ことは可能

ここまで聞くと「もう遅いかも…」と思うかもしれませんが、 どの段階でも、適切な治療を始めれば進行を止めることは可能です。

ハギノ歯科の歯周病治療ページでも紹介されているように、

  • スケーリング(歯石除去)
  • SRP(深い歯周ポケットの清掃)
  • 再生療法(エムドゲインなど)
  • 定期メンテナンス

を組み合わせることで、炎症を抑え、健康な歯ぐきを取り戻すことができます。

放置しないためのチェックポイント

  1. 3〜4か月ごとの定期検診: 自覚症状がなくても、歯周ポケット測定や歯石除去を定期的に。
  2. 歯間ブラシ・フロスの習慣化: 歯ブラシだけでは6割しか汚れを落とせません。
  3. 禁煙・規則正しい生活: 喫煙は歯ぐきの血流を悪化させ、免疫を下げます。
  4. バランスの良い食事: ビタミンC・タンパク質・カルシウムが歯周組織の回復を助けます。

よくあるご質問

歯槽膿漏の進行に関して、患者様からよくいただくご質問とその回答をご紹介します

Q

歯槽膿漏を放置したらどのくらいで歯が抜けますか?

A

個人差はありますが、放置期間が5〜10年になると歯の動揺が進み、自然脱落するケースがあります。進行速度は口腔内の衛生状態や免疫力、喫煙習慣などによって大きく左右されます。

Q

膿が出ても痛くないのですが、受診すべきですか?

A

はい、必ず受診してください。膿は骨の炎症サインです。痛みがなくても炎症は進行中で、放置すれば確実に歯を失う方向へ進みます。早期の治療開始が重要です。

Q

歯槽膿漏が原因で歯が抜けた場合、インプラントは可能ですか?

A

骨量や炎症状態により異なります。重度の骨吸収がある場合でも、再生治療で骨を回復させた上で対応できるケースもあります。まずは詳しい検査が必要です。

Q

歯槽膿漏で口臭が強くなるのはなぜ?

A

歯周ポケット内で細菌が硫化水素などのガスを発生させるためです。これらは卵が腐ったような強い臭いを発します。専門的なクリーニングで改善できます。

Q

歯槽膿漏を予防する一番の方法は?

A

定期的なプロケア+家庭での丁寧な歯磨きです。特に歯間ブラシとデンタルフロスの使用が効果的です。また、3〜4か月ごとの定期検診で早期発見・早期治療を心がけることが大切です。

まとめ:手遅れになる前に、今すぐ行動を

歯槽膿漏は「沈黙の病気」と呼ばれるように、痛みがないまま静かに進行し、 気づいたときには手遅れになっていることが多い恐ろしい病気です。

しかし、どの段階であっても適切な治療を始めれば、進行を止めることは可能です。 歯肉炎の段階なら完全に治癒が可能ですし、重度の歯周炎でも現代の治療技術により 歯を残せる可能性は十分にあります。

大切なのは「まだ大丈夫」「痛くないから」という油断を捨て、 少しでも気になる症状があれば早めに歯科医院を受診することです。

ハギノ歯科では、最新の設備と技術で、患者様一人ひとりの状態に合わせた 最適な歯周病治療をご提供しています。歯ぐきの腫れ、出血、口臭など、 少しでも気になる症状がございましたら、お早めにご相談ください。

萩野 貴俊 副院長

この記事の監修者

ハギノ歯科 副院長
萩野 貴俊

愛知学院大学歯学部卒業。日本歯周病学会会員。 歯周病治療のスペシャリストとして、多くの患者様の歯を救ってきました。 「歯を失いたくない」その思いに全力でお応えします。

歯槽膿漏の症状でお悩みではありませんか?

ハギノ歯科では、歯周病治療を通じて、患者様が健康で快適な毎日を送れるようサポートしています。
歯ぐきの腫れや出血、口臭など、少しでも気になる症状がございましたら、
お早めにご相談ください。スタッフ一同、心よりお待ちしております。