歯茎の白いできものの正体と受診の目安(記事アイキャッチ)

歯茎の白いできものは何?痛みの有無でわかる5つの正体と受診の目安

歯みがきのときや鏡を見たときに、歯ぐきに白いできものを見つけて不安になっていませんか。痛くないから様子を見ている方も、押すと痛くて心配な方もいらっしゃると思います。

「痛くはないけれど、歯ぐきにニキビみたいな白いものがある。消えたと思ったらまた出てきて、これは何なんだろう。」

結論からお伝えします。歯茎の白いできものには「自然に治るもの」と「自然には治らないもの」があります。そして、痛みがない白いできものほど、放置してはいけない可能性が高いという点が、多くの方の予想と逆になっています。

この記事では、歯科医師が実際に鑑別に使っている痛みの有無・場所・硬さ・経過という4つの手がかりで、5つの正体を見分ける方法をご説明します。読み終えたときに、ご自身が「今すぐ受診すべきか、様子を見てよいか」を判断できることを目指しました。

この記事の要点

  • 自然に治るのは口内炎。骨隆起はもともと体の一部で治療の対象ではありません
  • 自然に治らないのはフィステル(膿の出口)と白板症です
  • 痛くないのに消えたり出たりするできものは、フィステルの可能性があります
  • 2週間以上続く白いできものは、自己判断せず歯科医院で確認してください

まず確認してください|痛みはありますか?

歯茎の白いできものを見分ける最初の手がかりは痛みの有無です。ここで大きく2つに分かれます。

正体痛み場所・見た目経過自然に治るか
フィステル
(膿の出口)
ほとんどない歯の根元。ニキビ状にぷっくり消えたり出たりする治らない
口内炎ある(しみる)白い凹み。縁が赤い1〜2週間で改善治る
骨隆起ない硬い。左右対称のことが多いゆっくり大きくなる治療の対象ではない
歯周膿瘍強い(押すと痛い)歯ぐきが赤く腫れ、白〜黄色急に腫れる治らない
白板症ないこすっても取れない白い板状2週間以上続く治らない

ここで注目していただきたいのは、「痛くない」ほうに、自然に治らないものが集まっているという点です。痛みは体からの警告ですが、白いできものに関しては痛みがないことが安心材料にはなりません

フィステル(瘻孔)とは|痛くないのに放置できない理由

フィステルは、歯の根の先にたまった膿が、歯ぐきの表面に作った「出口」です。瘻孔(ろうこう)やサイナストラクトとも呼ばれます。

なぜできるのか

虫歯が深く進んだり、外傷を受けたりすると、歯の神経(歯髄)が死んでしまうことがあります。その状態を放置すると、根の先で細菌が増えて膿がたまります。逃げ場のない膿はあごの骨を溶かしながら広がり、やがて歯ぐきを突き破って外に出ようとします。この出口がフィステルです。

日本歯内療法学会でも、根の先の病変は根管内の細菌が原因であり、その細菌を減らすことが治療の中心になると説明されています。

痛みが出にくいのはなぜか

膿の出口ができると内部の圧力が下がるため、痛みが和らぎます。つまりフィステルは「治りかけ」ではなく、「膿が出続けている」サインです。消えたように見えても、膿の量が減って一時的に閉じただけで、原因は残っています。消えたり出たりを繰り返すのは、フィステルの典型的な経過です。

放置するとどうなるか

痛みが少ないため何年も放置されることがありますが、その間も根の先の感染は進み、あごの骨が溶ける範囲が広がっていきます。範囲が広がるほど治療は難しくなり、根管治療では対応できず抜歯が必要になることもあります。

フィステルの治療は、根の中を清掃・消毒して細菌を減らす根管治療が基本です。当院では一般歯科(虫歯・根管治療)で対応しています。神経を取る治療がどのように進むかは歯の神経を抜くとどうなる?治療の流れと抜いた後の歯の寿命で詳しくご説明しています。

痛みがある場合|口内炎と歯周膿瘍の見分け方

口内炎(アフタ性口内炎)

白っぽい円形の凹みがあり、縁が赤くなっているのが特徴です。食事や歯みがきでしみて痛みますが、通常は1〜2週間で自然に治ります。疲れや睡眠不足、栄養の偏り、頬や歯ぐきを噛んだ刺激などがきっかけになります。

ただし2週間以上治らない、同じ場所に繰り返しできる、だんだん大きくなる場合は、別の病変の可能性があります。この場合は様子を見ずにご相談ください。

歯周膿瘍

歯周ポケットの奥で細菌が増え、膿がたまって歯ぐきが赤く腫れた状態です。押すと強く痛み、腫れが頬まで広がったり、発熱を伴ったりすることもあります。歯が浮いた感じや、噛むと痛いという症状が出ることもあります。

厚生労働省のe-ヘルスネットでも、歯周病は自覚症状が乏しいまま進行し、進んだ段階で腫れや膿といった症状が現れることが説明されています。歯周膿瘍は自然には治りません。抗菌薬で一時的に落ち着いても、原因である歯周ポケットの汚れを取り除かなければ再発します。

歯ぐきの腫れや出血が続く場合は歯周病治療で検査を行います。歯みがきのたびに血が出る段階での見分け方は歯磨きのたびに歯茎から血が出るのはなぜ?受診の目安と原因の見分け方にまとめています。

痛みがない場合|骨隆起と白板症

骨隆起(こつりゅうき)

歯ぐきの内側にあるあごの骨が部分的に盛り上がったものです。指で触ると骨のように硬く、下あごの内側や上あごの中央にできることが多く、左右対称にできるのも特徴です。

これは病気ではなく体の一部なので、原則として治療は必要ありません。ただし入れ歯が当たって痛む場合や、大きくなって食事に支障が出る場合には、口腔外科で切除を検討することがあります。

白板症(はくばんしょう)

こすっても取れない白い板状の病変です。歯ぐきのほか、舌や頬の内側にもできます。痛みがないことが多く、気づかないまま経過することもあります。

白板症は前がん病変とされており、日本口腔外科学会でも一部が悪性化する可能性があるため経過観察や精査が必要と説明されています。ただし、白いできものがあるからといって、すぐにがんを心配する必要はありません。頻度としては口内炎やフィステルのほうがはるかに多く、白板症であっても多くは経過観察で対応します。

大切なのは「こすっても取れない白い病変が2週間以上続くかどうか」です。この場合は自己判断せず、歯科医院で確認してください。見た目だけで区別することは歯科医師でも難しく、必要に応じて専門の医療機関にご紹介します。

なお、唇の裏や頬の内側にできる「透明」なできものは粘液嚢胞という別のもので、歯茎の白いできものとは原因が異なります。詳しくは唇の裏にできる透明なできもの(粘液嚢胞)をご覧ください。

受診の目安|今すぐか、数日以内か、様子を見てよいか

ここまでの内容を、行動に移しやすい形で整理します。

状況目安
強く腫れている/発熱がある/噛むと激しく痛むできるだけ早く受診
痛くないできものが消えたり出たりする(フィステルの疑い)数日以内に受診
こすっても取れない白い病変が2週間以上続く数日以内に受診
白い凹みがあり縁が赤く、数日で小さくなってきた(口内炎の疑い)1〜2週間様子を見てよい
骨のように硬く、左右対称で、痛みも変化もない(骨隆起の疑い)定期検診のときに相談

迷ったときの基準は「2週間」です。2週間以上変化がない、または消えたり出たりを繰り返す白いできものは、自然に治るものではない可能性が高くなります。

三重県いなべ市のハギノ歯科では、レントゲン検査で歯の根の状態を確認したうえで、原因に応じた治療をご提案しています。フィステルが疑われる場合は一般歯科(虫歯・根管治療)で対応します。当院へはいなべ市のほか、桑名市・東員町・菰野町・四日市市北部からもご来院いただいています。

よくあるご質問

歯茎の白いできものについて、患者様からよくいただくご質問とその回答をご紹介します

Q

歯茎の白いできものは自然に治りますか?

A

できものの正体によって異なります。口内炎であれば1〜2週間で自然に治ります。骨隆起はもともと体の一部なので治すものではありません。一方、フィステル(膿の出口)と白板症は自然には治りません。フィステルは一時的に消えることがありますが、それは膿が出て圧が下がっただけで、原因である歯の根の感染は残っています。2週間以上消えない、または消えたり出たりを繰り返す場合は歯科医院で確認してください。

Q

フィステルはやばいですか?放置するとどうなりますか?

A

フィステルそのものは、体が膿を外に逃がしている状態です。痛みが少ないため放置されやすいのですが、原因である歯の根の感染は進み続けます。その結果、あごの骨が溶ける範囲が広がり、治療がより難しくなります。長期間放置すると、根管治療では対応できず抜歯が必要になることもあります。痛くないからこそ、早めの受診が歯を残すことにつながります。

Q

歯茎にできる白いものは何ですか?

A

代表的なものはフィステル(膿の出口)・口内炎・骨隆起・歯周膿瘍・白板症の5つです。見分ける最初の手がかりは痛みの有無で、痛みがあれば口内炎か歯周膿瘍、痛みがなければフィステル・骨隆起・白板症の可能性があります。ただし見た目が似ているものもあるため、2週間以上続く場合は歯科医院で確認することをおすすめします。

Q

押すと痛い白いできものは何が考えられますか?

A

押したときに強く痛み、歯ぐきが赤く腫れている場合は歯周膿瘍の可能性があります。歯周ポケットの奥で細菌が増え、膿がたまった状態です。白い凹みがあり縁が赤く、食事でしみる場合は口内炎が考えられます。歯周膿瘍は自然に治らず、腫れや発熱を伴うこともあるため早めの受診が必要です。

Q

子どもの歯茎に白いできものができました。様子を見てよいですか?

A

お子さんの場合、乳歯の虫歯が神経まで進んでフィステルができることがあります。乳歯のフィステルを放置すると、その下で育っている永久歯に影響が出ることがあるため、様子を見るより一度確認したほうが安心です。また、生えかけの永久歯が歯ぐきを押し上げて白く見えることもあります。いずれも見た目では判断が難しいので、歯科医院にご相談ください。

Q

歯茎の白いできものは自分で潰してもいいですか?

A

潰さないでください。フィステルを潰しても膿が一時的に出るだけで、原因である歯の根の感染は残ります。かえって周囲に細菌が広がったり、傷口から別の感染を起こすおそれがあります。口内炎も、潰すと治りが遅くなります。気になっても触らず、歯科医院で原因に応じた処置を受けてください。

歯茎の白いできものが気になる方へ

痛みがなくても、2週間以上続くできものは一度ご確認ください。
レントゲン検査で歯の根の状態を確認し、原因に応じた治療をご提案します。

まとめ

歯茎の白いできものには、自然に治る口内炎から、自然には治らないフィステルや白板症まで、いくつかの正体があります。見分ける最初の手がかりは痛みの有無ですが、「痛くない」ほうに放置してはいけないものが集まっている点にご注意ください。

とくにフィステルは、痛みが少ないまま歯の根の感染が進みます。早い段階で根管治療を行えば歯を残せる可能性が高くなりますので、消えたり出たりを繰り返すできものは早めにご相談ください。

いなべ市のハギノ歯科では、虫歯や歯周病の治療から予防歯科による定期的なチェックまで、地域のみなさまのお口の健康を継続して見守っています。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

監修:萩野 貴俊(副院長)

愛知学院大学歯学部卒業。三重県いなべ市のハギノ歯科にて、虫歯・歯周病の治療から根管治療、予防歯科まで幅広く診療を担当。「痛くない歯医者」を目指し、患者様一人ひとりの状態に合わせた説明と治療を心がけています。