シーラントってなに?どんな歯に必要?
~歯科が教える「奥歯を守る透明なフタ」~

「シーラント」という言葉を耳にしたことはありますか? 子どもの定期検診や学校検診で「シーラントをおすすめします」と言われたことのある保護者の方も多いでしょう。

シーラントとは、虫歯になりやすい奥歯の溝に、レジン(歯科用プラスチック)を埋めて守る予防処置のこと。 簡単に言うと、「歯の溝にフタをして汚れを防ぐ」方法です。

痛みもなく短時間でできるため、世界中で最も一般的に行われている小児歯科の虫歯予防法のひとつです。 ここでは、「どんな歯に必要なのか」「なぜ効果的なのか」「どれくらい持つのか」を詳しく解説します。

シーラントの目的としくみ

奥歯の溝は、実は細菌のすみかになりやすい構造をしています。 乳歯・永久歯どちらも、歯の咬む面には細かい溝(裂溝)があり、そこにプラーク(歯垢)が入り込みやすくなっています。

なぜ奥歯の溝は虫歯になりやすいの?

  • 歯ブラシの毛先はその細い溝の奥まで届かない
  • どんなに丁寧に磨いても、汚れが残り、虫歯の温床になる
  • 食べかすや細菌が溝の奥深くに入り込む

シーラントの防御メカニズム

シーラントは、そうした「歯ブラシが届かない溝」を薄い樹脂でコーティングし、細菌の侵入を防ぎます。 まるで歯の上に透明な防御膜を張るようなもので、食べかすや虫歯菌の付着を物理的にブロックします。

どんな歯に必要なの?

🦷 1. 6歳臼歯(第一大臼歯)

最もシーラントが必要なのは、6歳前後に生える最初の永久歯(6歳臼歯)です。

  • 生え始めの時期が最も虫歯になりやすい時期
  • 生えかけの頃は歯ぐきに半分埋まっており、ブラシが届きにくい
  • 表面のエナメル質も未成熟で柔らかく、虫歯菌にとって最高の環境
  • 「一生使う歯」であり、失うと将来的な噛み合わせや顔の形にまで影響する重要な歯

だからこそ、この6歳臼歯は生え始めたタイミングでシーラントをすることが最も効果的です。

🦷 2. 乳歯の奥歯

乳歯にも深い溝があるタイプがあります。特に食べ物が詰まりやすい形態の乳臼歯(奥の乳歯)にはシーラントが有効です。 「永久歯が生える前に虫歯にならないよう守る」意味でも大切な処置です。

🦷 3. 12歳臼歯(第二大臼歯)

12歳前後に生える第二大臼歯も、6歳臼歯と同様に虫歯リスクが高い歯です。 中学生くらいになるとブラッシングの精度にムラが出やすく、ここも見逃せません。

シーラントの効果:データで見る虫歯予防率

研究では、シーラントをした歯は4年間で約60〜80%の虫歯発生を防ぐという結果が報告されています。 さらに、フッ素塗布との併用で効果は倍増します。 アメリカ疾病予防管理センター(CDC)も、小児へのシーラントを「最もコストパフォーマンスの高い虫歯予防」と推奨しています。

シーラントの3つの特徴

  • 削らない:健康な歯を削ることなく、そのまま保護できます
  • 痛くない:麻酔も不要で、お子様も怖がらずに受けられます
  • 短時間で終わる:10〜15分程度で処置が完了します

実際の処置の流れ(ハギノ歯科の場合)

痛みもなく、短時間で終わる安心の予防処置です

1

お口の中をチェック

シーラント対象の歯を選定します。汚れや初期虫歯の有無を確認し、最適な処置計画を立てます。

2

清掃と乾燥

歯ブラシや専用器具で汚れを落とし、唾液がつかないように乾燥させます。

3

前処理(エッチング)

歯の表面に薬剤を数十秒塗り、接着力を高めます。しみることはありません。

4

シーラント材を塗布

さらさらのレジンを溝に流し込みます。透明な材料なので見た目も自然です。

5

光で固める(照射)

特殊な光を数十秒当てて硬化させます。すぐに噛めるようになります。

6

噛み合わせ確認

高すぎたり段差がないかを確認して終了。全体で10〜15分ほどで完了し、痛みはまったくありません。

どのくらい持つの?メンテナンスのポイント

シーラントの耐久年数は平均3〜5年です。 ただし、食生活や歯の形、噛み合わせなどによっては1〜2年で一部剥がれることもあります。

剥がれた部分は、虫歯ができる入口になるリスクがあるため、定期検診でのチェックが大切です。 再充填は簡単にでき、治療時間も短く、痛みもありません。

ハギノ歯科での取り組み

  • 定期検診:3〜4か月ごとに実施し、シーラントの状態を確認
  • フッ素塗布:シーラントと併用で虫歯予防効果を最大化
  • 定期清掃:プロフェッショナルケアで長期的な虫歯ゼロを目指す

シーラントとフッ素塗布の違いと使い分け

どちらも重要な虫歯予防法ですが、それぞれに特徴があります。

処置名主な目的方法特徴
フッ素塗布歯の表面を強くするフッ素液を塗る歯質を硬くして虫歯菌を弱める
シーラント汚れを防ぐ奥歯の溝を封鎖食べかすを入りづらくする

結論:フッ素=歯を強くする守備力、シーラント=汚れを防ぐ防壁。 この2つを組み合わせることで、虫歯予防の精度が飛躍的に高まります。

よくある誤解と正しい理解

❌ 誤解1:「シーラントをすれば絶対虫歯にならない」

→ 正しくは、「リスクを大幅に減らす」もの。歯磨き・食習慣が大切です。

❌ 誤解2:「一度やれば一生もつ」

→ 剥がれたり摩耗します。定期メンテナンスが前提です。

❌ 誤解3:「大人には関係ない」

→ 実は成人でも深い溝がある場合には適応することがあります。

よくあるご質問

シーラントに関して保護者の方からよくいただくご質問とその回答をご紹介します

Q

シーラントをすればもう虫歯にならない?

A

100%ではありません。シーラントは虫歯リスクを大幅に減らしますが、歯磨きや食習慣を合わせて続けることで予防効果が発揮されます。毎日の歯磨きとフッ素の使用、定期検診を組み合わせることが重要です。

Q

どのくらいの期間で剥がれますか?

A

個人差はありますが、平均3〜5年です。食習慣や噛み合わせによっては1〜2年で部分的に剥がれることもあります。定期的に状態確認を行い、必要に応じて再充填します。

Q

痛みや麻酔はありますか?

A

一切ありません。シーラントは歯を削らない予防処置なので、麻酔も必要なく、痛みもありません。子どもも安心して受けられる処置です。処置時間も10〜15分程度と短時間で終わります。

Q

シーラントとフッ素、どちらを優先すべき?

A

どちらも大切です。フッ素は歯全体を強くし、シーラントは奥歯の溝を守ります。ハギノ歯科では両方の併用を基本としています。それぞれ異なる作用で虫歯を防ぐため、併用することで最大の予防効果が得られます。

Q

料金は保険適用ですか?

A

条件を満たせば保険適用になります。初期虫歯のリスクが高いと診断された場合など、保険適用となるケースがあります。詳細はスタッフまでご相談ください。お子様の歯の状態を確認した上で、最適な治療プランをご提案いたします。

まとめ:「削る前に守る」それがシーラントです

シーラントは、「削る前に守る」ための最前線の予防法です。 痛みがなく、お子さまも怖がらずに受けられる処置として、世界中で推奨されています。

特に6歳臼歯や12歳臼歯など、生えたての永久歯は虫歯リスクが高く、この時期のシーラント処置は将来の歯の健康を大きく左右します。 一生使う大切な歯を、虫歯から守るための「透明な盾」として、シーラントは非常に有効な予防法です。

ハギノ歯科では、お子様の歯の成長段階を見極めながら、6歳臼歯や乳臼歯の生えたて時期に合わせて、最適なタイミングでシーラントをご提案しています。 フッ素塗布との併用により、さらに強固な虫歯予防体制を整えています。

「虫歯になる前に、守るための一歩」 それがシーラントです。お子様の大切な歯を守るため、ぜひご検討ください。

萩野 貴俊 副院長

この記事の監修者

ハギノ歯科 副院長
萩野 貴俊

愛知学院大学歯学部卒業。日本小児歯科学会会員。 お子様の成長に合わせた優しい歯科治療を心がけています。 虫歯予防から歯並びのご相談まで、お子様の歯の健康をトータルサポートいたします。

お子様の歯の健康が気になる保護者の方へ

ハギノ歯科では、シーラントをはじめとする予防処置で、お子様の大切な歯を虫歯から守ります。
痛みのない処置なので、歯医者が苦手なお子様も安心して受診いただけます。
お子様の歯について気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。

詳しい小児歯科治療については、当院の小児歯科ページもご覧ください。
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