歯が浮く感じの正体は?様子を見てよいときと受診が必要なときの見分け方
「歯が浮く」というあの独特な感覚の正体は、歯と骨の間にある「歯根膜(しこんまく)」という組織の炎症です。原因はいくつもありますが、感じ方が似ているのは、最終的にどれも同じ場所で起きているからです。
問題は、その炎症が「一時的なもの」なのか「進行しているもの」なのかが、感覚だけでは区別しにくいことです。疲れたときに数日で消えるものもあれば、噛むたびに痛みが強くなっていくものもあります。
この記事では、痛みの出方・続き方・伴う症状という3つの手がかりから、様子を見てよいものと受診したほうがよいものを整理します。いなべ市のハギノ歯科でも「疲れのせいだと思って半年経ってしまった」というご相談は少なくありません。
「歯が浮く」とき、口の中で何が起きているのか
様子を見てよいもの、受診が必要なもの
考えられる5つの原因
どのくらいで治りますか
受診の目安を3段階で整理する
よくあるご質問
歯が浮く感じについて、患者様からよくいただくご質問とその回答をご紹介します
歯が浮く感じは何日で治りますか?
原因によります。疲労や睡眠不足によるものは2〜3日、一時的な食いしばりによるものは数日〜1週間ほどで軽くなることが多くあります。一方で、歯周病や根尖性歯周炎が原因の場合は自然には治りません。1週間経っても変わらない場合は、休養では解決しない原因が残っていると考えて受診をご検討ください。
疲れると歯が浮くのはなぜですか?
免疫のはたらきが落ちることで、もともとあったわずかな炎症が表に出てくるためです。この実感自体は理にかなっています。ただし裏を返せば、疲れるたびに同じ場所が浮くのは、そこに炎症の火種が残っているサインでもあります。毎回同じ歯が浮く場合は一度お調べになることをおすすめします。
歯が浮いて噛むと痛いときは放置してよいですか?
噛むとはっきり痛む場合、とくに特定の1本だけが浮いている場合は、根の先や歯の周囲で炎症が進んでいる可能性があります。自然に治ることは期待しにくいため、早めの受診をおすすめします。痛み止めで抑え続けると、痛みが消えている間にも炎症が広がることがあります。
治療した歯が浮いている感じがします。失敗ですか?
詰め物や被せ物を入れた直後、根の治療の途中では、歯根膜が一時的に敏感になって浮いた感じが出ることがあり、数日で落ち着くのが通常です。ただし噛み合わせが高すぎる場合はその歯だけ当たり続けて治りません。1週間以上続くようでしたら調整が必要ですのでご連絡ください。
歯が浮くのは歯周病のサインですか?
歯周病は原因の一つですが、それだけではありません。食いしばり、根の先の炎症、治療直後の反応、疲労なども同じ感覚を起こします。ただし歯ぐきの腫れ・出血・口臭を伴う場合は歯周病の可能性が高くなります。厚生労働省 e-ヘルスネットも、歯周病は初期段階では自覚症状が出にくいとしたうえで、硬いものが噛みにくい・歯肉がときどき腫れる・歯がグラグラするといった項目に当てはまる場合は歯科医療機関での検査をすすめています。
自分でできる対処法はありますか?
浮いている歯で硬いものを噛まない、日中に上下の歯を接触させないよう意識する、睡眠時間を確保する、といった負担を減らす工夫は有効です。強く噛んで確かめる、指で揺らすといった行為は炎症を悪化させるため避けてください。これらはあくまで負担の軽減であり、歯周病や根の先の炎症が原因の場合は治療が必要です。
いなべ市でお口のことにお困りの方へ。「疲れのせいだと思っていた」という段階でご相談いただけると、治療の選択肢は広がります。
歯が浮く感じが続いていませんか?
1週間以上変わらない、噛むと痛む——そんなときは一度ご相談ください。
「心配ないと確かめる」ための受診も歓迎しております。
まとめ
「歯が浮く」の正体は、歯と骨の間にある歯根膜の炎症です。病名ではなくサインなので、大切なのは何が歯根膜を炎症させているのかを見極めることです。
見分ける手がかりは3つ。①噛むと痛むか ②1週間以上続いているか ③特定の1本だけか。これらに当てはまるときは、休養では解決しない原因が残っていると考えるほうが正確です。
逆に、疲れや睡眠不足に心当たりがあり、全体的にぼんやり浮く感じで数日のうちに軽くなってきているのであれば、まずは休養と負担の軽減で経過をみて構いません。ただし、疲れるたびに同じ場所が浮くのは、そこに火種が残っているサインです。
この記事の監修者
ハギノ歯科 副院長
萩野 貴俊
いなべ市大安町で40年以上、地域の皆さまのお口の健康を見守ってまいりました。歯が浮く感じは、我慢できてしまうぶん受診が遅れやすい症状です。「たいしたことないと思うのですが」という前置きこそ、お聞かせいただきたい言葉です。