顎が痛い・口が開けにくいのは顎関節症?原因の見分け方と受診の目安
「口を大きく開けると顎が痛い」「あくびをしたときに顎でカクッと音が鳴る」「以前より口が開きにくくなった気がする」。 こうした症状で最も多い原因は顎関節症(がくかんせつしょう)です。 ただし、顎が痛いからといって、その原因がいつも顎関節にあるとは限りません。 奥歯の虫歯や親知らずの炎症、噛みしめによる筋肉の疲れなど、まったく別の原因で顎が痛むこともあります。
顎関節症は、多くの場合、生活習慣の見直しや簡単な治療で少しずつ改善していく病気です。 一方で、痛みが強いまま我慢を続けたり、自己流のマッサージで無理に動かしたりすると、かえって症状が長引くこともあります。 大切なのは、今の症状がどのタイプなのかを見分け、必要なタイミングで歯科を受診することです。
「病院に行くほどではない気がして、何年もそのままにしています」というお声を、当院でもよくお聞きします。顎の不調は我慢できてしまうことが多いぶん、受診が遅れやすい症状です。
この記事では、顎関節症の代表的な症状とセルフチェックの方法、顎の痛みの原因を見分けるポイント、 何科を受診すればよいのか、そしてやってはいけないことや歯科医院での検査・治療の流れまでを、歯科医の視点でわかりやすくご説明します。
顎関節症とは?知っておきたい3つの主な症状
顎が痛い=顎関節症とは限りません
顎の痛みを訴えて来院された方を診察すると、原因が顎関節ではなく、歯やその周りの組織にあることがしばしばあります。 原因によって受診すべき場所も対処法も変わるため、まずは大まかな見分け方を知っておくと安心です。
| 考えられる原因 | 痛みの特徴 | まず相談する先 |
|---|---|---|
| 顎関節症 | 口の開け閉めや噛むときに、耳の前やこめかみが痛む。音や開けにくさを伴うことがある | 歯科・歯科口腔外科 |
| 虫歯・歯の神経の炎症 | 特定の歯がしみる・ズキズキする。冷たいものや熱いもので悪化し、夜間に強くなることがある | 歯科 |
| 親知らず・歯ぐきの炎症 | 奥歯のさらに奥が腫れて痛む。口が開けにくくなる、飲み込むときに痛むこともある | 歯科・歯科口腔外科 |
| 咀嚼筋の疲労(食いしばり・歯ぎしり) | 頬やこめかみが重だるい。朝に強く、日中はやや楽になることが多い | 歯科 |
| 耳・副鼻腔などの疾患 | 耳の奥の痛み、耳だれ、発熱、鼻づまりなどを伴う | 耳鼻咽喉科 |
| 神経の痛み・その他 | 顔面に電気が走るような鋭い痛みがある、しびれを伴うなど | 歯科で相談のうえ、必要に応じて医科へ |
顎関節症の主な原因
顎関節症は「これひとつが原因」と特定できることは少なく、いくつかの要因が積み重なって発症すると考えられています。 言い換えると、ひとつずつ要因を減らしていくことで、症状が軽くなっていくことが期待できるということです。

顎が痛いとき何科を受診すればいい?
結論から申し上げると、顎の痛みや口の開けにくさは、まず「歯科」または「歯科口腔外科」にご相談ください。 顎関節症は歯科が専門としている領域であり、日本口腔外科学会も、あごの関節の音・開口障害・あごの痛みについての相談先として歯科口腔外科を挙げています。
歯科であれば、顎関節そのものの状態に加えて、虫歯・親知らず・歯ぐきの炎症・噛み合わせといった歯科的な原因も同時に確認できます。 「顎関節症だと思っていたら奥歯の虫歯だった」というケースを一度の受診で切り分けられるのは、歯科を最初に選ぶ大きな利点です。
| 今の症状 | おすすめの相談先 | 目安 |
|---|---|---|
| 顎が痛い・音が鳴る・口が開けにくい | 歯科/歯科口腔外科 | まずはここへ |
| 特定の歯がしみる・ズキズキする | 歯科 | 早めに受診 |
| 親知らずの周りが腫れている・発熱がある | 歯科/歯科口腔外科 | できるだけ早く |
| 耳だれ・聞こえにくさ・強い鼻づまりを伴う | 耳鼻咽喉科 | そちらを優先 |
| 急に口がまったく開かなくなった | 歯科口腔外科 | できるだけ早く |
| 顎から胸・左腕への締めつけ感、冷や汗、息苦しさ | 救急要請を検討 | ただちに |
当院では口腔外科で顎関節症のご相談を承っています。 受診の際は、「いつから」「どこが」「どんなときに」痛むのかをメモしておいていただくと、診断の助けになります。
顎関節症でやってはいけないこと
歯科医院での検査と治療の流れ
当院での顎関節症に対する一般的な進め方をご紹介します。症状やお口の状態によって内容は変わります。
問診・お困りごとの確認
いつから、どこが、どんなときに痛むのかを詳しくお伺いします。 お仕事や睡眠の状況、食いしばりの自覚、これまでに受けた治療なども、原因を探る大切な手がかりになります。
検査
開口量の測定、顎の動き方の観察、関節や筋肉を指で触れての確認を行います。 あわせてお口の中を診察し、虫歯・親知らず・歯ぐきの炎症・噛み合わせなど、ほかに原因がないかを確認します。 必要に応じてレントゲン撮影で骨の状態を確認します。
診断・治療方針のご説明
検査の結果をもとに、症状の原因と考えられることをご説明します。 顎関節症以外の原因が見つかった場合は、そちらの治療を優先することもあります。 進め方の選択肢と、それぞれの利点・注意点をお伝えし、ご相談のうえで方針を決めます。
治療(セルフケア指導が中心)
多くの場合、まずは顎への負担を減らす生活指導から始めます。 必要に応じて、就寝時に装着するマウスピース(スプリント)の作製、痛みを抑えるお薬、 顎の動きを整える簡単な運動療法などを組み合わせます。外科的な処置が検討されるのは、こうした方法で改善しにくい一部のケースに限られます。
経過観察・再評価
数週間ごとに症状の変化を確認し、必要に応じて方針を見直します。 改善が見られない場合や、より専門的な検査・処置が必要と判断した場合には、連携する医療機関をご紹介することもあります。
マウスピース(スプリント)について
就寝時に装着するマウスピースは、歯ぎしりや食いしばりの力を分散させ、顎関節と歯にかかる負担を和らげることを目的としています。 歯ぎしりの治療を目的とする場合、健康保険が適用されます。
一方で、装着し始めの違和感や唾液が増える感じ、まれに噛み合わせの変化が起こることもあるため、定期的な調整と確認が欠かせません。 すべての方に同じように効果が出るわけではなく、症状のタイプによっては別の方法が適していることもあります。 お口に合っていないマウスピースはかえって負担になるため、歯科で作製・調整を受けることをおすすめします。
自宅でできるセルフケアと予防
いなべ市で顎の痛みにお困りの方へ
ハギノ歯科は、三重県いなべ市大安町にある歯科医院です。 顎の痛みや口の開けにくさは、「病院に行くほどではないかもしれない」と感じて受診をためらいがちな症状ですが、 原因を早めにはっきりさせることで、ご自身でできる対策も見えてきます。
当院は口腔外科を含む総合的な診療体制を整えており、 顎関節そのものの状態だけでなく、虫歯・親知らず・歯ぐきの炎症・噛み合わせといった歯科的な原因まで、 一度の受診でまとめて確認できます。「何科に行けばよいかわからない」という方も、まずはご相談ください。 虫歯や噛み合わせの治療が必要な場合は一般歯科で引き続き対応いたします。
いなべ市内はもちろん、東員町・菰野町・四日市市北部など近隣の地域からもお越しいただいています。 痛みや不安を抱えたままにせず、どうぞお気軽にお声がけください。
よくあるご質問
顎の痛みや顎関節症について、患者様からよくいただくご質問とその回答をご紹介します
顎関節症の初期症状はどのようなものですか?
初期には、口を開け閉めするときに耳の前でカクッと音が鳴る、あくびや大きな食べ物を食べるときに顎が疲れる、朝起きたときに顎がだるいといった軽い症状から始まることが多くあります。痛みがはっきりせず「気のせいかもしれない」と感じる程度のことも少なくありません。音だけで痛みも開けにくさもない場合は経過を見ることもありますが、症状が続くようであれば一度歯科でご確認ください。
顎関節症になりやすいのはどんな人ですか?
睡眠中の歯ぎしりや日中の食いしばりがある方、無意識に上下の歯を接触させ続ける癖(TCH)がある方、頬づえやうつ伏せ寝の習慣がある方、いつも同じ側で噛む方、精神的な緊張が続いている方などは負担がかかりやすいとされています。統計的には20代から40代の女性に多いことが知られていますが、年齢や性別を問わず起こります。
軽度の顎関節症はどうやって治すのですか?
軽度の場合は、顎への負担を減らす生活習慣の見直しが治療の中心になります。上下の歯を離すことを意識する、やわらかめの食事にする、大きく口を開ける場面を減らす、姿勢を整えるといった内容です。必要に応じて痛みを抑えるお薬や、就寝時のマウスピース(スプリント)を併用します。多くの方はこうした対応で少しずつ楽になっていきますが、改善の程度には個人差があります。
顎関節症は自然に治りますか?
軽い症状であれば、原因となっていた癖や負担がなくなることで自然に和らぐこともあります。ただし、原因となる習慣が続いている場合は再発したり長引いたりしやすくなります。痛みで食事がとりにくい、口が開けにくい状態が続いているという場合は、自然に治るのを待つのではなく歯科でご相談いただくことをおすすめします。
顎関節症を一瞬で治す方法はありますか?
残念ながら、顎関節症を一瞬で治す方法はありません。顎関節症は複数の要因が積み重なって起こることが多く、その要因をひとつずつ減らしていくことで、時間をかけて改善していく性質のものです。即効性をうたって関節を無理に動かしたり強く押したりする方法は、かえって症状を悪化させる可能性があるため、おすすめできません。
顎関節症を放置すると手遅れになりますか?
多くの顎関節症は、放置したからといってすぐに取り返しがつかなくなる病気ではありませんので、過度にご心配される必要はありません。ただし、痛みをかばって片側だけで噛む状態が長く続くと、噛み合わせや筋肉のバランスが崩れて症状が複雑になることがあります。また、口が開かない状態が長引くほど治療期間も長くなりやすいため、気になった時点で一度診てもらう方が結果的に負担が少なくて済みます。
顎関節症の治療に健康保険は使えますか?
顎関節症の検査や診察、歯ぎしりの治療を目的としたマウスピース(スプリント)の作製などは、健康保険の適用対象となります。診察の内容や必要な処置によって費用は変わりますので、受診時に治療方針とあわせてご説明いたします。ご不明な点はお気軽にお尋ねください。
顎の痛みや口の開けにくさでお困りではありませんか?
ハギノ歯科では、顎関節の状態だけでなく、虫歯や親知らず、噛み合わせなど歯科的な原因までまとめて確認いたします。
「何科に行けばよいかわからない」という段階でも構いません。
お電話またはWeb予約フォームから、どうぞお気軽にご相談ください。
まとめ:顎の痛みは原因を見分けることから始まります
顎が痛い、口が開けにくいという症状で最も多い原因は顎関節症です。 代表的な症状は、顎の痛み・関節の雑音・口が開けにくいという3つで、これらが単独で現れることもあります。 まずは開口量や痛む場所をご自身で確認し、今の状態を把握することから始めましょう。
一方で、奥歯の虫歯や親知らずの炎症、噛みしめによる筋肉の疲れなど、顎関節以外の原因で顎が痛むことも少なくありません。 だからこそ、最初に相談する先としては歯科・歯科口腔外科が適しています。 顎関節の状態と歯科的な原因を、一度の受診でまとめて確認できるためです。
顎関節症の治療は、生活習慣の見直しが中心となり、必要に応じてマウスピースやお薬を組み合わせていきます。 時間はかかりますが、要因をひとつずつ減らしていくことで改善が期待できます。 反対に、無理に大きく開ける、強く自己流のマッサージをする、痛みを我慢して放置し続けるといった対応は、症状を長引かせることにつながります。
「これくらいで受診してもよいのだろうか」と迷われる段階が、実はいちばん相談しやすいタイミングです。 顎の不調が気になりましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
ハギノ歯科 副院長
萩野 貴俊
愛知学院大学歯学部卒業。三重県いなべ市のハギノ歯科にて、一般歯科から口腔外科まで幅広く診療にあたっています。 顎の痛みは原因が分かりにくく、ご不安を抱えたまま過ごされている方が多い症状です。 お一人おひとりのお話をよくお伺いし、分かりやすいご説明を心がけています。
参考にした情報
- 一般社団法人 日本顎関節学会「顎関節症とは」
- 公益社団法人 日本口腔外科学会「あごの関節の音がする/口が開かなくなった/あごが痛い」
- 公益社団法人 日本歯科医師会「テーマパーク8020 顎関節症」

